日本森林医学会 第2回学術総会 大阪で開催
― 森林医学の最新動向と社会応用を探る ―
一般社団法人日本森林医学会は、第2回学術総会を2025年8月27日(水)・28日(木)の2日間、大阪富国生命ビル「いのちの森」にて開催しました。本総会は「植物の力と森林の魅力」をテーマに、森林医学の最新動向と社会応用に関して、国内外の研究者、医療従事者、企業関係者、政府関係者、公益団体など幅広い分野の専門家が一堂に会し、森林が人間の心身に与える効果や森林の魅力の社会的活用の可能性について多角的に議論しました。
初日は午前9時30分に開会。国際自然森林医学会(INFOM)会長/日本森林医学会副会長の今井医師、大会大会長の小林昭雄(大阪大学名誉教授)から大会開催への祝辞を賜り、学会代表理事の李卿教授(日本医科大学付属病院臨床教授)が、設立の意義や活動報告、海外の動向について紹介しました。続く特別講演・基調講演では、小林昭雄(一般社団法人テラプロジェクト代表理事)が「植物の力と森林の魅力」をテーマに、基調講演をしました。特別講演として、石見拓(京都大学大学院教授・医師)から「予防医学と森林医学の融合」というテーマで講演を頂きました。午後のシンポジウムでは「森林浴が脳機能や嚥下に及ぼす影響」「ランダム化クロスオーバー研究による森林浴効果の検証」など、最新の研究成果が発表され、活発なパネルディスカッションも行われました。
一般講演セッションでは「都市と森林の共生」をテーマに、都市計画や環境保全の観点から森林活用のあり方が議論されました。
2日目は「森林を活用した医療・福祉・まちづくり」に焦点を当て、森林療法と高齢者福祉、地域再生、企業の社会的責任など幅広い視点で発表が行われました。さらに「森林浴・森林セラピーの新活用」「森林にかける夢」のセッションでは、臨床研究に加え、建設・保険・観光産業からの実践事例も紹介され、また、中国で自然教育を取り入れた幼稚園経営者や公益財団の代表も登壇し、アジア規模での国際交流の機会となりました。
閉会に先立ち、参加者がそれぞれの「森林への想い」を語るセッションが設けられ、学術的・文化的双方から森林の価値を再確認されました。今回の学術総会は、森林医学を医療・社会・文化へ広く展開する契機となり、また、本学会は持続可能な健康社会の実現に向けた先導的役割を担うことが期待されます。
本大会の使命は、研究者のみならず、企業・行政・市民社会が共に参加する開かれた交流の場として、森林医学の発展に大きく寄与するものです。